仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「えっ、あの……」
 

 すぐに反応できず、詩史は情けなく口をパクパクさせる以外にない。事態が思わぬ方向へ転がり、思考がついていかないのだ。


 「ちょっと待ってください、神谷さん。詩史ちゃんが驚いてるじゃないですか」


 夏生が修吾から詩史を引き離しにかかる。修吾は眉をピクリと動かした。


 「そんな大役、詩史ちゃんには荷が重すぎますよ。私が代わりを務めますから。年齢的にもしっくりくると思います。きっと詩史ちゃんから私に変わっても、大使だって気づかないでしょうし」
 

 身代わりを務めると提案する里依紗の手まで伸びてきたが、修吾はどちらも近づけまいと、詩史をさらに引き寄せた。


 「いえ、その必要はありません。詩史さん、頼まれてくれるよね?」


 里依紗にきっぱりと断ってから、詩史に懇願するような目を向け、修吾はさらに続ける。
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