仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「俺の婚約者として振舞っていれば、海外の要人にも会う機会が増えるだろう。フランス語だけじゃなく、ほかの言語にも今より触れられる。スキルを伸ばすチャンスだと思わないか?」


 それはとても魅力的な誘い文句だった。


 「スキルアップ……」


 詩史は思わず目を輝かせる。
 たしかに外交官の修吾のそばにいれば、外国語に触れる機会は今より格段に増すだろう。通訳としてまだまだ未熟な詩史には大きなチャンスだ。


 「詩史ちゃん、そんなの安易に引き受ける話じゃないぞ」
 「そうよ。無理だわ」


 引き止める夏生と里依紗を修吾が軽く手で制す。介入するなと言いたげな、毅然とした眼差しだ。


 「どう? 詩史さん」


 修吾の視線が詩史に注がれる。夏生たちへ向けたものとは真逆の、とても優しい眼差しだ。そのせいで鼓動が不規則なリズムを刻む。
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