仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 ほどなくして修吾がエントランスのドアから入ってきた。前もってメッセージで到着していると送っていたため、詩史を探して視線が泳ぐ。
 それを捕まえようと手を上げてすぐ、修吾と目が合う。瞬間、彼がふわりと微笑んだ。

 (そ、その笑顔は反則!)

 パリで出会ったときからは考えられない変わりようだ。
 有無を言わせず鼓動が弾む。もともと整った顔立ちのため、その破壊力といったらない。

 (もしかしたら神谷さんって、人見知りするタイプなのかな)

 顔を合わせるごとに、壁を感じなくなっていく。
 修吾は隠しきれない色気をまき散らしつつ、すれ違う女性たちの視線を根こそぎ奪いながら、詩史の前で足を止めた。


 「お待たせ。悪かったね、ここまでひとりで来させて」
 「い、いえっ、大丈夫です」
 

 色めき立つ女性たちに触発され、必要以上に胸が高鳴る。

 (神谷さんって、危険な人……!)
 
 どぎまぎしながら首を横に振る。


 「行こう。レストランを予約してある」
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