仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「ところで、私は婚約者として具体的にどうしたらいいですか? 国際問題にまで発展したら大変なので教えてください」
 
 大使の勘気に触れたら一大事だ。
 恋愛経験はなく、当然ながら婚約者になった経験もない。想像の範囲外なのだ。


 「そんなに気負わなくても大丈夫だ。というか、巻き込んで悪かった」
 「いえいえっ、私も勉強になりますし」


 急いで首を横に振る。
 修吾はグラスをテーブルに戻し、少しだけ身を乗り出した。


 「そう言ってもらえて嬉しいよ。でもそうだな……具体的に婚約者として振る舞うなら、まずは俺のことを好きそうに見せることかな」


 冗談めかした口調だったが、目は真剣だった。


 「好きそうに、ですか?」


 詩史は思わず聞き返す。


 「そう。周囲が見て、〝ああ、このふたりは本当に婚約してるんだな〟って思えるように。視線とか距離感とか、ちょっとした仕草でね」
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