仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「……たしかにそうですね」


 いちいちドキッとしている場合ではない。慣れなくては。


 「とにかく俺がフォローするから心配いらない」


 その言葉はなによりも心強い。
 その後コース料理は進み、メインに仔牛のローストが出された。
 淡いピンク色に焼き上げられた肉の断面は美しく、その上には赤ワインソースが艶やかにかけられている。添えられた根菜のグリルは、絵画のように彩りが豊か。ナイフを入れると肉は驚くほどやわらかく、口の中でほろりとほどけた。

 目を閉じて味わっていると、ふと視線を感じて目を開ける。

 修吾はなにも言わず、静かに微笑みながら誌史を見ていた。
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