仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
好きに見せるために
翌日、誌史は夏生と里依紗に誘われ、会社近くのカフェ『夕凪』へランチにやって来た。
会社から歩いて数分の場所にあるその店は誌史たちのお気に入りで、通り沿いのビルの一階にひっそりと佇んでいる。
ガラス張りのファサードからは自然光が差し込み、店内の木目調のインテリアを優しく照らす。店内はこぢんまりとしているが、空間の使い方が巧みで窮屈さは感じない。壁にはドライフラワーのリースや、手書きのメニューが飾られ、どこかぬくもりのある雰囲気を醸す。ランチタイムのため、近隣のオフィスワーカーたちが思い思いに過ごしていた。
カウンターの奥ではバリスタが丁寧にラテアートを描いている。コーヒーの香ばしい香りが空間全体にふんわりと広がる中、詩史たちは窓際のテーブル席に案内された。
テーブルには白い陶器の小さな花瓶にガーベラが一輪だけ飾られていて、それがさりげなく彩りを添える。
外の通りを行き交う人々の姿を眺めながらメニューを広げた。パスタやサンドイッチ、季節のスープなど素材にこだわったランチが並んでいるが……。
「私、焼きチーズナポリタンにします」
「私も」
「俺もそれ」
里依紗と夏生が誌史に続く。この店の看板メニューである。