仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 〝それじゃ、あのキスは?〟〝いや、だから挨拶でしかないから〟という自問自答が無限ループに入りそうになったため、急いで思考の彼方に飛ばす。


 「ひと回りじゃ、そうよね。彼から見たら誌史ちゃんはかわいい子犬みたいな感じじゃないかしら」


 里依紗の言葉に妙に納得する。


 「大人っぽくて綺麗な里依紗さんなら、隣に立っても様になるんだろうなぁ」


 言いながら並んだふたりを想像して、自分で自分にうなずく。


 「ふふ、ありがと。でも誌史ちゃんみたいな子のほうが、男の人は放っておけないんじゃない? ね、夏生くん?」
 「えっ? あ、まぁ」


 いきなり話を振られた夏生は曖昧に相槌を打ちながら、里依紗を一瞬だけ鋭い目で見た。
 そんなこと俺に聞くなよといったところか。誌史の手前、否定しづらい質問だ。


 「夏生さん、気にしないでください。私なら大丈夫ですからね」
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