仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「……あれ?」


 通訳用の資料が入ったフォルダが見当たらない。昨日の夕方、たしかに確認したはずだ。フォルダの場所は間違っていない。検索バーにキーワードを打ち込んだが、ヒットしなかった。


 「資料が……消えてる?」


 小さく呟いた声に、里依紗が顔を上げた。


 「資料、届いてないの? 事前に確認は?」
 「昨日の時点ではあったんです」


 それはたしかだ。いつものように、この目でしっかり確認したからよく覚えている。


 「ちょっとまずいわね」


 里依紗は腕時計で時間をたしかめてから顔をしかめた。
 いったいどこへいってしまったのか。誌史は慌てながら、もう一度フォルダ内を探すが――。

 (……やっぱりない。どうして?)

 あったはずの資料が、忽然と消えてしまった。
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