仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「私が先方に確認してみるわ。誌史ちゃんは通訳の準備に集中して」
 「すみません、ありがとうございます」


 里依紗はスマートフォンを手にして立ち上がった。


 「お世話になっております。ブルームコミュニケーションズの近藤です。本日のお打ち合わせですが……」


 ブースを離れて相手先に電話をかけはじめる。その横顔はいつも通り冷静だが、どことなく張りつめていた。

 詩史はこれまで、今のようなミスを犯したことはない。チェックにチェックを重ねてやってきたつもりだった。

 (とにかく落ち着こう。里依紗さんが資料を手配してくれてるから、私は私でやるべきことをしっかりしないと……!)

 手元にある紙ベースの資料をめくり、気を取りなおして確認作業に入った。

その後、里依紗のフォローでどうにか立て直した詩史は、その日の仕事を無事に終わらせた。
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