仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 早口のイタリア語で話す彼に、修吾もイタリア語でお祝いの言葉を返す。詩史は修吾の言葉を真似て、隣で小さく『おめでとうございます』と頭を下げた。


 『今夜はたくさん飲んでいってくれ』
 『じつは車で来てるんだ。雰囲気だけ楽しむよ。それからこれ』


 修吾が事前に用意していたワインを彼にプレゼントし、挨拶の延長上のフレンドリーな会話が続く。


 『で……紹介してくれるんだろ?』


 男性が不意に誌史を見た。


 『ああ、俺の婚約者の誌史だ』


 イタリア語まで話せる修吾の横顔に、誌史の鼓動が跳ねる。名前が登場したということは、おそらく誌史を紹介してくれたのだろう。


 『はじめまして。お招きいただいてありがとうございます……』


 慌てて英語で応じると、相手は気さくに『ようこそ!』と誌史に合わせて英語で返し、周りの友人たちにも紹介しはじめた。
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