仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 それは疲れて当然だ。言葉のひとつで相手国に誤解を与えかねない、神経を使う作業だろう。


 「誰だって仕事を抱えているんだから、あまりこういう話はすべきじゃないんだろうけど」
 「すみません、余計なことを聞いてしまいました」
 「誌史が謝ることじゃない。でも驚いたな、ほんと」


 修吾が最後にぽつりと呟いたところでコインパーキングに到着した。
 他愛のない話を繋ぎながら、誌史を乗せた修吾の車がアパート前に停車する。


 「今日は付き合わせて悪かったね」
 「いえ、とても有意義な時間でした。ありがとうございます。あの、それで……」


 助手席のドアに手をかけつつ、修吾を見る。


 「もしもよかったら、なんですけど、お茶でも飲んでいきませんか?」


 修吾の目が点になったためハッとする。


 「変なお誘いじゃないんです! 疲労回復に効くハーブティーがあって、それを飲んだら少し違うかもって。でも早く帰って休みたいですよね」
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