仮面フィアンセ〜憧れの外交官からの執着愛に今にも陥落しそうです
 「よかった」


 その穏やかな声に、誌史まで心が軽くなる。修吾の横顔を見つめながら、ふと思い返す。

 (そういえば、パーティーで修吾さん、あまり食べてなかったよね……)

 周りや詩史への気遣いばかりで、自分の皿はほとんど手つかずだった。


 「お腹は空いてませんか?」
 「言われてみれば小腹が減った気はする」
 「じゃあ、なにか作りましょうか。修吾さんのお口に合うかはわかりませんけど」


 料理は得意ではないが、嫌いではない。


 「無理しなくていい。お茶だけで十分だ」
 「いえ、せっかくなので」


 そう言いながら立ち上がると、修吾がからかうように目を細めた。


 「もしかして、隠れた得意料理でも披露してくれるのか」
 「とんでもないです。ただ、冷蔵庫にあるもので簡単に……」
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