つまずいた先、運命の人【マンガシナリオ】

10.面接

○湊のオフィスのミーティングルーム・翌週の火曜日、午後
モノ『今日はインターンの面接の日!なんだけど・・・』
リクルートスーツをビシッと着て面接官二人と向き合って座る唯。
一人は30代くらいの茶髪ストレートでミディアムくらいの髪の長さの女性、服装はオフィスカジュアル。もう一人はスーツを着た湊。
電子パッドを眺める湊。
唯(やっぱり見間違いじゃなかった・・・)※気まずそうな顔


○回想
唯が会社のホームページの社長コメントをスクロールすると出てきたのは湊の顔写真だった。
唯「えっ!?この人この間助けてくれた人、だよね?」
唯(取締役社長・・・すごい人だったんだ。え、まって!この人の会社でインターンするってこと!?いや、落ち着いて唯・・・まだ受かるとは決まってない・・・でも!)
いても立ってもいられず部屋中をぐるぐる歩き回る唯。
それから面接の日まで頭の中が混乱していた。


○現在に戻る
女性「それでは面接を始めさせていただきます。リラックスしてお答えくださいね。」※優しい微笑み
唯モノ『とりあえず今は面接だ!』
唯「よろしくお願いいたします」
気持ちを切り換えて面接に臨む唯。
女性面接官と唯の質疑応答の描写。
女性「富永さんからは何かありますか?」
面接官の女性が湊に話を振る。湊が電子パッドから顔を上げた。
湊「君の作品は見させてもらった。」
ゴクっと唾を飲み込み緊張を走らせる唯。
湊「色使いも上手いし発想も面白い。」
唯「っ!ありがとうございます」※少し表情がほぐれる
湊「最近デザインの方向性を変えたのか?」
唯(え・・・?)
息をのむ。
湊「最優秀賞取った後からの作品、どれも君らしくないように見えるが?」
唯モノ『心臓を鷲掴まれたような痛みが走った___。』※血の気が引いた顔
唯の脳裏に柚乃や他の先輩たちから言われた言葉たちが浮かぶ。
『最優秀賞なんてまぐれに決まってる』『つまらないデザイン』『大胆なんじゃなくて雑なだけでしょ』
湊「方向性を変えること自体は悪くないが君らしさを失くす必要はない。」
唯「えっ・・・。」
目を見開く唯。
湊「俺は前の君のデザインが好きだ」
唯モノ『心につっかえていたものがスッと消えていく・・・』
湊「今のデザインも悪くはないが、綺麗すぎる。感情が伝わってこない。ここにこれまでのような情熱が入るとより良くなるだろう」
女性「私もそう思います。」
微笑んで頷く女性面接官。
唯モノ『真っ直ぐに届く言葉たちが心を震わせる・・・』
唯(ホームページのコメントと同じだ・・・「想いのある創造」)
湊「今月もあと2週間ないか・・・7月から来れそうか?」
唯「え・・・」
湊「こちらとしては君のこれからに期待したい」
女性「是非一緒に働いてみたいわ」
唯「は、はい!よろしくお願いいたします!」
涙ぐみながら頭を下げる唯。
湊「では7月からよろしく。」
唯「ありがとうございます!」※吹っ切れた笑顔
由梨江「改めて自己紹介させていただくわね。私はデザイン部マネージャーの横山由梨江です。こちらはこの会社の社長である冨永湊さんよ。」
由梨江が湊のことも合わせて自己紹介してくれた。
唯は湊と目を合わせ一礼する。
由梨江「一緒に働けるのを楽しみにしているわ。インターンの詳細はまた後でお時間ください。」
唯「はい!本日はお時間をいただきありがとうございました。来月からよろしくお願いいたします!」※期待と緊張が入り混じった笑顔
由梨江「よし!堅苦しいのはここまでにして、インターンで準備しておいてほしい物とか詳細を伝えるわね。・・・あ!まとめたメモ置いてきちゃったわ・・・。取ってくるからちょっと待っててね。」
由梨江は慌てて退出して行った。
部屋に二人きりになり気まずい沈黙が流れる。
湊・唯「「・・・・・・・。」」
唯モノ『二人きりにしないでくださいぃ〜涙』


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