つまずいた先、運命の人【マンガシナリオ】

2.水たまり

◯Bar・夜22時過ぎ頃
香織「あのヤロー!詐欺だ!訴えてやる!」
グラスを片手に唯にもたれ掛かりながら怒る香織。
唯モノ『一時間しか飲んでないのに完全に出来上がってしまった・・・』
唯「香織飲み過ぎだよ〜。もう帰ろう?」
酔って怒り狂う香織を宥めながら帰る準備をする唯。
支度する唯の横で香織はずっと帰りたくないと騒いでいる。
旭「唯ちゃん、タクシー呼ぼうか?」
気を利かせて声をかけてくれた旭。
唯「すみません、お願いします」
香織「旭さ〜ん!まだ帰らない〜!もっと飲むぅぅ〜!」
旭「またおいで」
唯「ご迷惑をおかけしました・・・」
旭「全然。唯ちゃんも気をつけて帰ってね」
唯(後光が差している・・・)
旭の紳士っぷりに目を細める唯。
駄々をこねる香織が腕に絡んでくるが無視して会計を済ませる。


○Barの外、歩道・夜
お店を出て水たまりを避けながらタクシーに香織を押し込んだ。
香織「唯〜!私のこと見捨てないでぇ〜!」
唯「私反対方向だから歩いて帰るね。(住所)までお願いします」
香織に一緒にタクシーには乗らないことを伝える。運転手さんには香織の家の住所を伝え、なんとか見送った。
唯「ふぅ〜」
唯(任務完了・・・)※安堵の表情
一つ息をついて歩き出そうとしたが思ったよりもお酒が回っていたのか足元がふらつく。
唯(あ、まずい・・・!)
グキッと足首から変な音がして体が傾く。向かう先には水たまり。
バシャッ!
盛大に水たまりの上に倒れてしまい服がびしょびしょになってしまう唯。
唯「最悪・・・」
水溜りに座り込んだままボソッと本音が溢れた。
湊「大丈夫か?」
頭上から声をかけられ顔を上げると恐ろしく整った顔立ちの湊が唯に手を差し出していた。
一瞬時が止まったように見つめ合う。
湊「立てるか?」
唯「だっ大丈夫です・・・っ!」
湊の声にハッとして答える唯。
手を借りて立ち上がろうと足に力を入れた瞬間足首に痛みが走る。
唯(痛った!そういえばさっき変な音した気がする・・・)
湊「足、痛むのか?」
湊が唯の足に視線を移す。
唯「そうみたいです・・・。」※苦笑い
湊「家はこの辺?」
唯「えっと・・・歩いて15分くらいです」
湊「結構あるな・・・。その格好だとタクシーも無理か」
唯は申し訳なくなり俯く。
すると湊がしゃがみ込み濡れることも厭わず水溜りに片膝をついた。
湊「一旦運ぶから捕まって」
湊は唯の腕を自分の首にかけると、唯の背中と膝裏に手を入れ抱き上げた。
唯「ヒョエェッ!!」
驚き過ぎて変な声が出る唯。
唯(お姫様抱っこ!?)
唯「あ、あの!スーツ汚れます!下ろしてくださいっ!歩けますから!」
羞恥でジタバタ身を捩る唯。
湊「すぐだから大人しくしてて」
そう言って湊は唯を抱えながら、さっきまで香織と飲んでいたバーに歩いて行く。
唯(恥ずかしすぎる!私絶対重い!服濡れてる!スーツ高そう・・・弁償できる気がしない・・・)
だんだんと赤い顔が青ざめていき白目を剥く唯。
唯モノ『もう・・・気絶してしまいたい・・・』



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