おもひで猫列車へようこそ〜後悔を抱えたあなたにサヨナラを〜
彼に会えなくなってから、私は変わってしまった。何をしていてもいつも罪悪感と強い後悔が襲ってきて、よく眠れなくなった。

万年ダイエットだったのに、ただ生きるためにご飯を無理矢理胃に押し込むようになって勝手に痩せた。

そしてあんなに好きだった絵も描けなくなった。絵を描くたびに彼のことを思い出して涙が止まらなくなった。

全部──私のせい。

誰かにそう責められた訳ではないが、そう思わずにはいられなかった。


「ごめんね……静馬くん。ごめんなさい」


だって私が流星群なんて見たいなんて言わなければ、記念日は二人で過ごせたらいいねなんて言わなければ彼は今も生きて笑っていたかもしれない。ううん、しれないじゃなくてきっとそうだ。

たらればなんて考えても仕方ないけれど、それでも本当に、本当に大切な人だったから。

「……ぐす……静馬くん……」

私は彼の名を呼ぶと桜の樹の下で蹲った。


「──桜」

(……え、?)

一瞬、聞き間違えかと思った。

「待たせてごめんな」

もう一度、頭上から降ってきた聞き覚えのある声に私はすぐに顔を上げる。そして目の前に立っている人物を見て目を見開いた。

「静……馬くん」

「ごめん、遅くなった」

「……どう、して……?」

彼は隣にしゃがむとそっと私の涙を指先で拭った。

「俺もおもひで猫列車に乗ってきたんだ。桜とは別の列車だけどな……俺もずっと後悔があったから」

「私、なにがなんだか……」

ひでさんは過去に戻り後悔を思い出に変えることができるとは話していたが、こうして静馬くんと会えるなんて思っても見なかった。

それに過去と言っても私の過去とは違う。だってあの日、静馬くんは来なかったから。

「今、私たちが話してるのって、夢?」
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