御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす


「有紗のときはどうだった?」

「私?」

「妊娠がわかったときどう思った?」


 ふと尋ねられ、思わずきょとんとした顔をしてしまう。

 私も未婚のまま妊娠がわかったので、海くんの彼女さんと状況は似ている。


「最初は驚いたけど、すごくうれしかったよ」


 ベビーカーですやすやと眠るふたりを見ながら当時のことを思い出す。


「それに、少し不安にもなったかな」

「不安か……。そうだよな」


 海くんが力なく呟いた。そんな彼に向かって、「でも」と少しだけ声を上げて答える。


「私と海くんの彼女さんは状況が違うよ。私はひとりだったけど、彼女さんには海くんがいるでしょ」


 私は妊娠がわかったとき、すでに洸星さんとは別れる決意を固めていたので誰にも話すことができなかった。

 でも、海くんの彼女さんには海くんがいる。 


「彼女さんは妊娠をよろこんでる?」

「もちろん。笑顔で俺に報告してきたし、最近はよくお腹を愛おしそうに撫でているな」

「そっか。海くんは彼女さんから妊娠の報告を聞いてどう思った?」

「うれしかったに決まってるだろ。思わず涙が出てくるくらいにはな」


 それくらい感動もしたのだろう。


「それなら彼女さんは大丈夫だと思う」


 本人ではないから海くんの彼女さんの気持ちはわからない。でも、妊娠出産経験のある者として言えることがあるなら……。 


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