御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす


「こういうバーで声を掛けてくるようなやつはだいたいが本気じゃない。誘いに乗ってくれたらラッキーとしか思ってないさ。ま、中には本気で口説こうとしてる男もいるかもしれないが、有紗に声を掛けてきた外国の男はそうじゃなさそうだった」


 グラスを片手に持った洸星さんが言葉を続ける。


「そういう男は俺が有紗に声をかけて男連れだとわからせた時点で有紗にはもう興味をなくしてる。それなのに強い言葉で撃退するのもあの場の空気が悪くなるだけだ」


 つまり洸星さんはあえて冗談を言ったということだろうか。


「ユーモアを交えた方が俺も有紗も、それに相手の男もそのあと気持ちよく酒が飲めるだろ」


 そう言って洸星さんはグラスに口をつけた。

 あのときそんなことまで考えていたんだ。

 さすが大企業の社長だけあり視野が広い。

 ああいう場に合った対応が柔軟にできてしまう洸星さんはかっこいい大人の男性だと改めて思った。

 感心していると、洸星さんは低い声で「だが」と口を開く。


「有紗に気軽に話しかけたあの男に対して内心は腸が煮えくり返っていたが」


 手に持つグラスを静かにテーブルに置いた彼の視線が私を見つめる。


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