御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす

 私もそちらに視線を向けると、少し先に見知った女性の姿を見つける。鋭い眼差しを向けながらこちらに向かってくるのは東雲美貴さんだ。

 私たちの前で立ち止まると、彼女の視線が私に向かう。


「私の忠告を聞かなかったのね」


 強い口調でそう言った美貴さんから私を隠すように、洸星さんは私の手を繋いだまま一歩ずれた。


「俺のまわりをうろつくのはやめてくれと言ったはずだ」


 冷静だが強い怒りが伝わってくるような声色の洸星さんに美貴さんが一瞬ひるむのがわかった。けれどすぐに元の強気な彼女に戻る。


「洸星さんもこんな女と一緒にいたらあなたの地位や評判が落ちててしまいます」


 なおも続ける美貴さんに洸星さんは深くため息を吐いた。


「いい加減にしてくれ」


 心の底から拒絶をしているのが伝わってくる。

 きっと洸星さんはお見合いを断ったあとも自身に執着してくる美貴さんに困り果てているのだろう。

 私も次第に憤りを覚えてくる。

 美貴さんが四年前、私に嘘をついたこと。

 そして数日前はどうやって知ったのかはわからないが私の地元にまで現れ、小さな子供の前だというのに洸星さんと別れるよう迫ってきたこと。


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