御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
「あのとき食べた定食がとても美味しかった。うちの会社の食堂が社員たちから人気があるのがよくわかったよ」
「ありがとうございます」
褒められてぺこりと頭を下げる。
けれど、食堂の料理が美味しいのは調理師さんやパートさんたちの腕がいいからだ。
私は管理栄養士として健康や栄養バランスを考えたメニューを決め、必要な食材を発注したりしているだけで調理には直接関わっていない。
調理担当の方々はみんな私よりも年上なのに、年下の私の決めた献立内容に不平不満を言うことなくいつも明るく丁寧に調理に取り掛かってくれる。
今日だって――。
間違えて木綿豆腐を発注してしまったが『大丈夫。なんとかなるよ』と、私を励ましてミスをカバーしてくれた。
本当に良い人たちだ。
だからなおさら迷惑をかけてしまったことが申し訳ない。
発注ミスの件を思い出して気分がずんと重くなる。手元にあるグラスを手に取りぐびっと飲んだ。
次は何を飲もうか迷っていると、三澄社長のグラスが目にとまり同じものを頼む。
「度数高めだが大丈夫か?」
三澄社長が心配そうに見てくるが、問題ないと私は笑顔を作った。
「いいんです。酔いたい気分なので」
私の目の前にも三澄社長と同じお酒が置かれ、グラスを手に取る。そして一口ごくんと飲み込んだ。
辛口なお酒だが苦手な味わいではない。