御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
「彼氏の浮気です」
「そうか」
三澄社長が静かに頷く。
「名前を呼ぶほど、まだその男のことが好きなのか?」
「いえ……」
私は首を横に振った。
元彼に未練はもうない。それなのになぜ三澄社長と間違えてしまったのだろう。
たぶん裏切られたショックがなかなか癒えず、心の中の大きなしこりとして残っているからかもしれない。
別れてほしいというメッセージを見たときの気持ちが今も忘れられない。
「バーで忘れたいことがあると言っていたが、原因はそれだな」
「はい……」
私はスカートを両手でぎゅっと握った。
「そのショックを引きずっているせいか、仕事でも普段ならあり得ないミスをしてしまいました。調理担当の方たちに迷惑をかけてしまって本当に申し訳なくて」
そのときのやるせない気持ちを思い出し、気分がずんと沈んでいく。
お酒を飲んで全て忘れようと思った。でも、飲みすぎてしまい、こうして三澄社長に迷惑をかけている。
自分がとことん嫌になる。
「もう消えてしまいたいです」
自分の中だけで抱え込んでいた感情が一気に溢れ出すのを感じた。
心の声がこぼれるような小さな呟きだったけれど、三澄社長にも聞こえただろう。
失恋と仕事のミスだけで大げさだと思われるかもしれない。面倒な女だと呆れられてるかな。
そう思うと、三澄社長の顔が見られなくて私は俯いた。