御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
「すみません。ありがとうございます」
私もようやく晴輝のところに着き、抱っこしていた充輝を下ろす。それから晴輝と目線を合わせるように屈んだ。
「はるくん、大丈夫?」
「うん。いたくないよ」
転んだときに擦りむいたのだろう。晴輝の両膝にはかすり傷があり、うっすらと血が滲んでいる。それ以外に怪我はなさそうでホッとする。
顔や手、服についてしまった土を手で払う。膝のかすり傷は水できれいに洗い流したいがここでは無理だ。
まだ使ってない予備のハンカチで傷口を拭き、リュックの中のポーチから絆創膏を取り出して晴輝の両膝に貼った。
応急処置を終えてから立ち上がり、晴輝を助けてくれた男性を振り返る。それから深く頭を下げた。
「ありがとうございました」
お礼を伝えてから顔を上げ、改めて男性の顔を見た瞬間、私は思わず息を呑む。
相手の男性も真正面から私を見て大きく目を見開いた。
その瞬間、右手を取られ強く引き寄せられる。気がついたときには男性の胸の中に収められていた。
「有紗」
懐かしい低い声で名前を呼ばれ、心臓がトクンと大きく跳ねる。
「会いたかった」
男性は感情が溢れ出すのを抑えるような震えた声でそう言うと、私を抱きしめる腕にぎゅっと力を込めた。