御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす


「ーーすまなかった」


 ぼんやりと過去のことを思い出していると、目の前で洸星さんが頭を下げた。

 突然の謝罪に動揺していると、頭を上げた洸星さんが言葉を続ける。

 
「四年前、きみは俺のために別れを選んだんだな」


 彼には内緒にしていた真実に触れられ思わず目が泳ぐ。


「今まで俺は有紗がどうして突然姿を消したのか、その理由がわからなかった。気づかないうちにきみを傷つけていたのかもしれないと思い、すごく落ち込んだ」

「そんな……」


 傷つけられてなんかいない。洸星さんは私をとても大切にしてくれていたし、愛してくれていた。彼の言動で私はいつもそれを感じられて幸せだった。


「でも、最近になって知ったんだ。東雲(しののめ)グループの社長の娘が有紗に会いに行ったことを」


 東雲グループの社長の娘とは、洸星さんの婚約者だった東雲美貴(みき)さんのことだろう。そして今彼女は洸星さんの奥さんのはず。


「東雲グループとMISUMIホールディングスの資本提携には俺と東雲グループの社長の娘との結婚が必須条件。そう言われて、きみは俺の前から姿を消した。違うか?」


 その通り。私は洸星さんが好きだから、彼の未来を思って身を引いた。

 俯いたまま小さく首を縦に振ると、洸星さんが「やっぱりそうか」と静かに呟く。 


「すまなかった」


 もう一度謝罪をされ、私はようやく顔を上げた。


「いいんです。洸星さんが幸せなら、私はそれで」

< 45 / 162 >

この作品をシェア

pagetop