御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
「なにかあったのか」
俺の秘書である彼はもともとは父の秘書をしていた五十代のベテランで、頼りになる存在だ。
常に毅然とした態度を崩さないような男だが、珍しく困り果てた様子で現れたので何事かとこちらまで神妙な面持ちになる。
「それが……」
言いづらそうに秘書が口を開いた。
「東雲電気の社長がエントランスにいらっしゃっているようで……」
「またか」
体の力が一気に抜けたのと同時に、深いため息がこぼれた。
少し前から東雲電気から経営統合を持ちかけられている。
会長同士が友人だが、そんなことは少しも関係なく経営統合はこちら側に一切メリットはないので断っていた。
俺としては意見を変えるつもりは全くないが、東雲社長がしつこいのでどう対応するべきかと頭を悩ませている。
親子揃って、どうして俺の邪魔ばかりするんだ。
東雲社長の娘の東雲美貴は俺と有紗が別れた元凶だ。
四年前、彼女はただの見合い相手候補だったのだが、当時の俺の恋人だった有紗に婚約者だと名乗った。
それだけではなく、俺との結婚によりMISUMIホールディングスと東雲電気が資本提携をするなどと嘘をついて有紗が俺と別れるよう仕組んだ。