御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
もちろん本気で東雲電気を子会社にしようとは考えていない。
プライドの高い東雲社長なら対等な立場ではない合併は絶対に断ると思い、わざと提案してみただけだ。
すると案の定、それはできないと拒否をされた。
傲慢な彼のことだ。経営統合はしたいが、自分よりも年下の俺の下につくのは許せないのだろう。
それなら経営統合はしないと言い切ったところ、苦虫を噛み潰したような表情で東雲社長は社長室を出て行った。
「おそらく経営統合の件はこれ以上しつこく言ってはこないはずだ」
言いながら腕時計に視線を落とす。定時は過ぎているが、普段ならまだ仕事をしている時間だ。
けれど今日はこのあと有紗のアパートへ行くため上がらせてもらう。
一緒に自然公園に行ったのは二週間前。会うのはそれ以来だ。
あの日は帰りに有紗の実家によりチャイルドシートを両親の車に戻した。
有紗たちのアパートは実家から近いらしく、そのあとは歩いて帰宅していた。
実家に寄った際、両親に挨拶をするべきか迷ったが、二人ともお店に出ていて不在にしており顔を合わせることはできなかった。
けれど俺はどんな顔で有紗の両親に会えばいいのだろう。
無責任な人間だと思われているかもしれない。少なくとも良い印象は持たれていないはずだ。
もしも有紗の両親と顔を合わせる機会があれば、まずは誠心誠意謝罪をするつもりだ。