【WEB版】「無価値」と捨てるのは結構ですが、私の力は「本物」だったようですよ? ~離縁された転生令嬢、実は希少魔法の使い手でした~
15 初めての冬
本格的に冬の季節がやってくる。
秋は、ひたすら冬越しの準備に明け暮れていたような気がするわ。
幸い魔獣討伐がされたという一報もあり、森の恵みを採取することができた。
思えば、もう私が村に来てから半年は過ぎたか。
離縁した当初は十七歳なんてまだまだ若いと息巻いていたけれど、まさかこういう生活をすることになるとは思わなかったなぁ。
もちろんよかったこともある。リーフェルトくんに出会えたことだ。
ローデン侯爵家を追い出されて途方に暮れたことも、リーフェルトくんを救う運命にあったなんて思えば悪くないタイミングだったのではないか、なんて。
「寒い寒い!」
「さむーい!」
地方特有というより、この国特有の冬服に身を包み、なんとか日々を過ごす。
この村の雪はそこまででひどくはないと聞いていたけれど、どうも基準が違うようだ。
十分に積もる雪だと思う。
前世でも狭い国土の日本だって、雪の降る地域と降らない地域で認識の差があった。
この村の『雪が降らない』は、どこかの豪雪地帯と比較してマシと言っているんだと思うわ。
つまり、私の基準からすると十分に雪が降る地域である。
前世からするとレアだった豚の塩漬け肉など、とにかく保存食を用意した。
……本当に大変だったわ。
村の人たちの助けだって借りている。
そのぶん、きちんとお返しできるようにも。
令嬢暮らしで衰えた筋力が心配だったものの、魂と根性が前世の一般人である私は、どうにかこの生活に食らいついていった。
でも、気を付けないといけない。
冬はそれだけで命を落とす危険があるのよ。
暖房器具のあった前世のように甘く考えていたらだめだ。
「隙間風、がんばって塞いだと思っていたのになぁ」
「さむいねぇ」
家の中にいても寒いったらない。
ウサギや子羊の毛皮の衣服を着て、もはや私の姿に貴族令嬢感はない。
採取した綿をせっせと詰めたものとかを合わせて、モコッとした見た目にすらなっている。
例のトウガラシの粉を靴の爪先に詰めるやつは、効果をそれなりに感じられた。
「あったかい気がする!」
「うんうん!」
気がするだけなのか、実際に効果があるのか。たぶんあると思うけど。
それにしても大変なのは暖房関連が概ね手動になることだ。
ロウソクに火をつけるのも、竈に薪を入れて火を絶やさないようにするのも手動管理。大変だ。
リーフェルトくんも手伝ってくれるけど、主に私がするのよ。
農村の冬に仕事がないかというと、そんなことはなくいろいろとある。
建物や農具の修繕を今のうちにやっておかないとだめだとか。
家畜の世話も気を抜いたら絶対にだめ。
まぁ、正式に私が飼っているわけではないのだけど。
男性は日々、薪割りをしている。薪を絶やすのは本当に死活問題なのだ。
冬場に採れるキャベツ系やネギ系の作物の収穫もある。
ブドウの木の管理をしている家は、古い木の伐採に植樹とさらに大変そうに思う。
想像以上に厳しい冬だと感じるのは、私に現代の記憶や貴族環境の知識があるからかなぁ。
前世の昔の時代と違い、魔法のアーティファクトやギフトなんてものがこの世界にはあるのだからもっと便利になってもいいのにと思う。
これも都市部と農村の格差だろうか。
庶子で家族関係は冷えていたとはいえ、生活水準だけならきっと高いレベルだったのだ。
……まぁ、それはそれとして。
生活の厳しさにばかり目をやってしまうけれど。
私としてはリーフェルトくん目線の楽しみに注目したい。
あくまで『私の前世には』という注釈がつくけれど、なじみのなかったことがある。
本格的に冬になり、雪が降る季節になると川や池が凍りつくのだ。
そこで何をするかというと、なんとアイススケートである。
ただし、スケート靴は前世でのイメージにあるような合金製のアレじゃないわ。
木靴に動物の骨を合わせたお手製だ。
骨を削り、穴を空け、紐で履物に縛りつけているの。
それで前世のスケート靴っぽい感じに仕上げて氷上をすべって遊ぶのだ。
遊ぶ際には木の棒を持っている。
例の私の作った〝いい感じの枝〟だ。
その木の棒で、すべっている互いをつついて遊ぶのが基本の遊びみたい。
寒い地方特有の遊びというやつね。
「わー!」
「あはは!」
なんていうか、どの地方、どの国でも冬には冬の遊びがあるのねぇ。
見ている私は転んで怪我をしないかハラハラするしかない。
あと何よりも池の氷が割れて、その下に落ちてしまわないか心配。
白い息を吐き出し、手を温めながら元気に遊ぶリーフェルトくんを見守る。
村の子供たちとの関係は良好だと思う。よかった。
こうして見るとリーフェルトくんって意外と運動神経がいいのかしら。
どうしても華奢なイメージがあったけど、出会った時はただ栄養不足だったのだろう。
今は比較的、健康に過ごせているはず。
食べやすい野菜とか用意できちゃうからね!
思えば、リーフェルトくんと一緒に過ごすようになったことって、私にとってはよいことだった。
如何にギフトなんて力があったとしても、一人ではどこかで寂しくなっていただろう。
でも、今はあの子が元気に過ごすために力を使おうって思える。
離縁当初の空回ったような前向きさとは違う。
地に足のついた前向きさだと思うわ。
秋は、ひたすら冬越しの準備に明け暮れていたような気がするわ。
幸い魔獣討伐がされたという一報もあり、森の恵みを採取することができた。
思えば、もう私が村に来てから半年は過ぎたか。
離縁した当初は十七歳なんてまだまだ若いと息巻いていたけれど、まさかこういう生活をすることになるとは思わなかったなぁ。
もちろんよかったこともある。リーフェルトくんに出会えたことだ。
ローデン侯爵家を追い出されて途方に暮れたことも、リーフェルトくんを救う運命にあったなんて思えば悪くないタイミングだったのではないか、なんて。
「寒い寒い!」
「さむーい!」
地方特有というより、この国特有の冬服に身を包み、なんとか日々を過ごす。
この村の雪はそこまででひどくはないと聞いていたけれど、どうも基準が違うようだ。
十分に積もる雪だと思う。
前世でも狭い国土の日本だって、雪の降る地域と降らない地域で認識の差があった。
この村の『雪が降らない』は、どこかの豪雪地帯と比較してマシと言っているんだと思うわ。
つまり、私の基準からすると十分に雪が降る地域である。
前世からするとレアだった豚の塩漬け肉など、とにかく保存食を用意した。
……本当に大変だったわ。
村の人たちの助けだって借りている。
そのぶん、きちんとお返しできるようにも。
令嬢暮らしで衰えた筋力が心配だったものの、魂と根性が前世の一般人である私は、どうにかこの生活に食らいついていった。
でも、気を付けないといけない。
冬はそれだけで命を落とす危険があるのよ。
暖房器具のあった前世のように甘く考えていたらだめだ。
「隙間風、がんばって塞いだと思っていたのになぁ」
「さむいねぇ」
家の中にいても寒いったらない。
ウサギや子羊の毛皮の衣服を着て、もはや私の姿に貴族令嬢感はない。
採取した綿をせっせと詰めたものとかを合わせて、モコッとした見た目にすらなっている。
例のトウガラシの粉を靴の爪先に詰めるやつは、効果をそれなりに感じられた。
「あったかい気がする!」
「うんうん!」
気がするだけなのか、実際に効果があるのか。たぶんあると思うけど。
それにしても大変なのは暖房関連が概ね手動になることだ。
ロウソクに火をつけるのも、竈に薪を入れて火を絶やさないようにするのも手動管理。大変だ。
リーフェルトくんも手伝ってくれるけど、主に私がするのよ。
農村の冬に仕事がないかというと、そんなことはなくいろいろとある。
建物や農具の修繕を今のうちにやっておかないとだめだとか。
家畜の世話も気を抜いたら絶対にだめ。
まぁ、正式に私が飼っているわけではないのだけど。
男性は日々、薪割りをしている。薪を絶やすのは本当に死活問題なのだ。
冬場に採れるキャベツ系やネギ系の作物の収穫もある。
ブドウの木の管理をしている家は、古い木の伐採に植樹とさらに大変そうに思う。
想像以上に厳しい冬だと感じるのは、私に現代の記憶や貴族環境の知識があるからかなぁ。
前世の昔の時代と違い、魔法のアーティファクトやギフトなんてものがこの世界にはあるのだからもっと便利になってもいいのにと思う。
これも都市部と農村の格差だろうか。
庶子で家族関係は冷えていたとはいえ、生活水準だけならきっと高いレベルだったのだ。
……まぁ、それはそれとして。
生活の厳しさにばかり目をやってしまうけれど。
私としてはリーフェルトくん目線の楽しみに注目したい。
あくまで『私の前世には』という注釈がつくけれど、なじみのなかったことがある。
本格的に冬になり、雪が降る季節になると川や池が凍りつくのだ。
そこで何をするかというと、なんとアイススケートである。
ただし、スケート靴は前世でのイメージにあるような合金製のアレじゃないわ。
木靴に動物の骨を合わせたお手製だ。
骨を削り、穴を空け、紐で履物に縛りつけているの。
それで前世のスケート靴っぽい感じに仕上げて氷上をすべって遊ぶのだ。
遊ぶ際には木の棒を持っている。
例の私の作った〝いい感じの枝〟だ。
その木の棒で、すべっている互いをつついて遊ぶのが基本の遊びみたい。
寒い地方特有の遊びというやつね。
「わー!」
「あはは!」
なんていうか、どの地方、どの国でも冬には冬の遊びがあるのねぇ。
見ている私は転んで怪我をしないかハラハラするしかない。
あと何よりも池の氷が割れて、その下に落ちてしまわないか心配。
白い息を吐き出し、手を温めながら元気に遊ぶリーフェルトくんを見守る。
村の子供たちとの関係は良好だと思う。よかった。
こうして見るとリーフェルトくんって意外と運動神経がいいのかしら。
どうしても華奢なイメージがあったけど、出会った時はただ栄養不足だったのだろう。
今は比較的、健康に過ごせているはず。
食べやすい野菜とか用意できちゃうからね!
思えば、リーフェルトくんと一緒に過ごすようになったことって、私にとってはよいことだった。
如何にギフトなんて力があったとしても、一人ではどこかで寂しくなっていただろう。
でも、今はあの子が元気に過ごすために力を使おうって思える。
離縁当初の空回ったような前向きさとは違う。
地に足のついた前向きさだと思うわ。