【WEB版】「無価値」と捨てるのは結構ですが、私の力は「本物」だったようですよ? ~離縁された転生令嬢、実は希少魔法の使い手でした~
16 冬至のお祭り
冬場の楽しみはアイススケートだけではない。
冬至の祭りがあり、それに向けた準備もあるのだ。
これは、貴族であってもやる国民的なお祭りね。
宗教的な、国教のお祭りでもある。
前世基準だと世界一信仰する人の多いあの宗教に近いのかと思うが、ちょっと毛色が違う。
具体的にいうと一神教ではなく多神教なのだ。
聞いたことがない神の名もある。
魔法のある異世界だし。神様といっても、ただの信仰だけの存在かどうか。
どこかに実在しているパターンも十分にあり得ると思うので、きちんと信仰しておく。
触らぬ神に祟りなしである。
なに、私は前世が日本人。
八百万のいろいろな神様をあがめることに抵抗はない。
ただ、こちらの神様はなんていうか精霊っぽい気がする。
自然界のあらゆる事象に精霊が宿る前提というか。
この部分、割と日本人感覚に近いんじゃないだろうか。
生活魔法の様々な効果も、いろいろな神様に感謝してうんぬんという前提があるのだ。
日々を何とか過ごし、準備をして。
やがて、冬至のお祭りの日がやってくる。
リーフェルトくんと一緒に迎える初めてのお祭りの日だ。
この村での初めて、でもあるわね。
主に村にある教会を中心に行われるお祭り。
この日ばかりは村も少しだけ贅沢だ。
教会から村人の皆にワインが振る舞われる。
チーズ、果物、お肉といったものも。
家に持って帰って家族で食べるようにといただけるの。
こうしたお祭りが市民にとって如何に大事なことか、身にしみてわかった気がするわ。
「アーシェラお姉さん!」
「どうしたの、リーフェルトくん」
「これ!」
ん? 差し出されたのは木彫り……?
不揃いながら手に収まる程度の板、その表面に独特な紋様が彫られている。
これは、この地域における神様の一つを表す模様ね。
「お守り! あげる!」
「まぁ! もしかして……リーフェルトくんが作ってくれたの?」
「うん!」
「とっても嬉しい。ありがとう!」
「えへへ」
「もしかして最近、家にいなかったのって、これのため?」
「うん!」
たぶん、鍛冶師さんのところへお邪魔しているんだろう、ということは実は把握していた。
でも村の中だし、安心だろうと思って何も言わないでいたのだ。
「アーシェラお姉さんがケンコウに、アンシンでってお願いするお守りなんだー」
「まぁ! ふふ、ありがとう。本当に嬉しいわ」
健康で安心。どう聞いたのかしら。
もちろん嬉しい。嬉しいのだけど、たぶんこの紋様……。
ベタなんだけど、これ。〝安産祈願〟を意味する紋様じゃないかな。
たぶん、絶対、リーフェルトくんが考えているニュアンスと違う意味だと思うけど。
私はもちろん、そんなことは指摘しない。
彼の前ではプレゼントを喜ぶばかりだ。そんな私はというと。
「じゃあ、私からもリーフェルトくんにプレゼント」
取り出したのは……私もお守り。
この地方というか農村の一般的な贈り物といえばこれなのだ。
私の場合は木材系の材料はいくらでも出せる。小さいけど。
きちんとこの国で意味のある模様を彫った板に、さらに刺繍つき。
木彫りのお守りの裏側に、刺繍された布が張られているもの。
手の平サイズの大きさだ。
「わー!」
そんな、ちょっぴり普通のお守りとは違うデザインのもの。
木彫り面と刺繍の張られた布面にそれぞれ別の意味を込めた紋様がある。
それこそ〝健康と安全〟の木彫りと〝幸運〟を意味する刺繍ね。
「すごい!」
裏表に紋様があることに気づくと、リーフェルトくんはとても興奮してくれる。
「ふふ、お互いに同じことを考えていたのね。一緒の考えなのね、私たち」
「うん!」
私がそう言うと嬉しそうに笑ってくれた。
私たちは手を繋いで冬至のお祭りを一緒に過ごしたのよ。
冬至のお祭りが終わると、この国における一年が終わる時期だ。
前世でいうとクリスマスを終えた後の一月、正月ね。
まだまだ厳しい時期だけれど、なんとなく村人たちにも緩い空気感が漂う。
というのも、アレだ。
この時期ばかりは日々、大変な農村暮らしであっても、仕事などは休む文化なのだ。
こういう休日は日本だけの話じゃなかったし、異世界でも同じなのね。
まだ『冬を越えた』なんて言えない時期だけど。
年の終わりは乗り越えたんだって、そう思うとなんだか感動してしまうわ。
これからも頑張ってリーフェルトくんと一緒に暮らしていこう! 彼が大人になるまで!
新たに決意を抱いていた私。
──だけど。そんな日々は、呆気なく終わりを告げる。
冬至の祭りがあり、それに向けた準備もあるのだ。
これは、貴族であってもやる国民的なお祭りね。
宗教的な、国教のお祭りでもある。
前世基準だと世界一信仰する人の多いあの宗教に近いのかと思うが、ちょっと毛色が違う。
具体的にいうと一神教ではなく多神教なのだ。
聞いたことがない神の名もある。
魔法のある異世界だし。神様といっても、ただの信仰だけの存在かどうか。
どこかに実在しているパターンも十分にあり得ると思うので、きちんと信仰しておく。
触らぬ神に祟りなしである。
なに、私は前世が日本人。
八百万のいろいろな神様をあがめることに抵抗はない。
ただ、こちらの神様はなんていうか精霊っぽい気がする。
自然界のあらゆる事象に精霊が宿る前提というか。
この部分、割と日本人感覚に近いんじゃないだろうか。
生活魔法の様々な効果も、いろいろな神様に感謝してうんぬんという前提があるのだ。
日々を何とか過ごし、準備をして。
やがて、冬至のお祭りの日がやってくる。
リーフェルトくんと一緒に迎える初めてのお祭りの日だ。
この村での初めて、でもあるわね。
主に村にある教会を中心に行われるお祭り。
この日ばかりは村も少しだけ贅沢だ。
教会から村人の皆にワインが振る舞われる。
チーズ、果物、お肉といったものも。
家に持って帰って家族で食べるようにといただけるの。
こうしたお祭りが市民にとって如何に大事なことか、身にしみてわかった気がするわ。
「アーシェラお姉さん!」
「どうしたの、リーフェルトくん」
「これ!」
ん? 差し出されたのは木彫り……?
不揃いながら手に収まる程度の板、その表面に独特な紋様が彫られている。
これは、この地域における神様の一つを表す模様ね。
「お守り! あげる!」
「まぁ! もしかして……リーフェルトくんが作ってくれたの?」
「うん!」
「とっても嬉しい。ありがとう!」
「えへへ」
「もしかして最近、家にいなかったのって、これのため?」
「うん!」
たぶん、鍛冶師さんのところへお邪魔しているんだろう、ということは実は把握していた。
でも村の中だし、安心だろうと思って何も言わないでいたのだ。
「アーシェラお姉さんがケンコウに、アンシンでってお願いするお守りなんだー」
「まぁ! ふふ、ありがとう。本当に嬉しいわ」
健康で安心。どう聞いたのかしら。
もちろん嬉しい。嬉しいのだけど、たぶんこの紋様……。
ベタなんだけど、これ。〝安産祈願〟を意味する紋様じゃないかな。
たぶん、絶対、リーフェルトくんが考えているニュアンスと違う意味だと思うけど。
私はもちろん、そんなことは指摘しない。
彼の前ではプレゼントを喜ぶばかりだ。そんな私はというと。
「じゃあ、私からもリーフェルトくんにプレゼント」
取り出したのは……私もお守り。
この地方というか農村の一般的な贈り物といえばこれなのだ。
私の場合は木材系の材料はいくらでも出せる。小さいけど。
きちんとこの国で意味のある模様を彫った板に、さらに刺繍つき。
木彫りのお守りの裏側に、刺繍された布が張られているもの。
手の平サイズの大きさだ。
「わー!」
そんな、ちょっぴり普通のお守りとは違うデザインのもの。
木彫り面と刺繍の張られた布面にそれぞれ別の意味を込めた紋様がある。
それこそ〝健康と安全〟の木彫りと〝幸運〟を意味する刺繍ね。
「すごい!」
裏表に紋様があることに気づくと、リーフェルトくんはとても興奮してくれる。
「ふふ、お互いに同じことを考えていたのね。一緒の考えなのね、私たち」
「うん!」
私がそう言うと嬉しそうに笑ってくれた。
私たちは手を繋いで冬至のお祭りを一緒に過ごしたのよ。
冬至のお祭りが終わると、この国における一年が終わる時期だ。
前世でいうとクリスマスを終えた後の一月、正月ね。
まだまだ厳しい時期だけれど、なんとなく村人たちにも緩い空気感が漂う。
というのも、アレだ。
この時期ばかりは日々、大変な農村暮らしであっても、仕事などは休む文化なのだ。
こういう休日は日本だけの話じゃなかったし、異世界でも同じなのね。
まだ『冬を越えた』なんて言えない時期だけど。
年の終わりは乗り越えたんだって、そう思うとなんだか感動してしまうわ。
これからも頑張ってリーフェルトくんと一緒に暮らしていこう! 彼が大人になるまで!
新たに決意を抱いていた私。
──だけど。そんな日々は、呆気なく終わりを告げる。