【WEB版】「無価値」と捨てるのは結構ですが、私の力は「本物」だったようですよ? ~離縁された転生令嬢、実は希少魔法の使い手でした~
17 村での日々の終わり
それは私からすれば、突然のことだった。
「え? 村を……出ていって……ほしい?」
冬のある日、教会に私一人だけが呼び出された。
リーフェルトくんは連れてこないようにと言われていた。
神父様と村の大人の数人が教会にいて、迎えられて。
そこで告げられたことが『村を出ていってほしい』だったのだ。
「な……ど、どういうことでしょうか……? なぜ、急にそんな」
何か問題を起こしてしまっただろうか。
うまくやっていると思ったのに。
冷や汗が背中を伝う。
私に宣告した村人たちは顔を見合わせ、困ったようにする。
その表情からは〝哀れみ〟がうかがえ、〝怒り〟が理由ではないと察した。
「初めにお聞きしたいのですが、アーシェラさん」
「は、はい。神父様」
「あなたは、アーシェラ・リンドブルム公爵令嬢ですか?」
「──!」
私は息をのむ。
……バレた。とうとうバレてしまったのだ。
もちろん、私だって隠すことは考えた。
けれど【植物魔法】を使わずに村で生きていくのはきっと無理だっただろう。
だからギフトのことは正直に打ち明けるしかなかった。
でも【植物魔法】が使える時点で、知っている人には丸わかりなのだ、私の正体は。
「私たちも、そこまで愚鈍ではありません。アーシェラさんが貴族の出だろうとは最初からわかっていました」
「そう……なのですか?」
「はい。服装を市井のものに変えようとも、あなたの振る舞いからは貴族らしいそれが見えました」
そうか。でもそれは貴族の振る舞いなのか。
前世の──いや、どちらでも同じか。
「離縁されたというお話を聞いた時、貴族との縁だろうなと思っていました」
「そもそもヘレーネの姉が、どこかの貴族の子を生んだっていう話は、昔に聞いたんだよ」
「……そう、ですか」
母の話だ。噂に過ぎないようだが、相手が相手だけに広めないような動きが過去にあったのかもしれない。それでも人の口に戸は立てられない。
「私たちも確証がありませんでしたし、詮索するのもあえて避けていました。余計なことを知りたくなかった、が理由です」
「……はい」
そういう理由もあったのだ。
私だって余計な詮索をし、藪をつついて蛇を出したくない気持ちはわかる。
だから今まで私は見逃されていた。
「それで。認めてくれますか、アーシェラさん」
「……はい。私は、アーシェラ・リンドブルムです。今はもう、公爵家に籍は残っていないと思いますが……」
言い逃れなどできないと私は告白するしかなかった。
そもそも本当に隠れたいのなら、もっと徹底すべきだったのだ。
それに正体がバレたからと、村を出ていけと言われるとは……思っていなかったみたい。
我ながらなんて甘い見通し。どこかで楽観的だった。
「私が教会の関係者に。そして他の者は市場で偶然。あなたに関わる話を聞いたのです」
「私に関わる話ですか」
「アーシェラ・リンドブルム公爵令嬢は、かつてローデン侯爵に嫁いでいたそうですね」
「……はい」
「ローデン侯爵に離縁を言い渡されて、そのままリンドブルム公爵家に戻らず、この村に逃げてこられた?」
「……その通りです。ヘレーネ叔母さんを頼ってきました」
「そうでしたか」
他に私について何を聞いたのだろう。
何を聞いて村を出ていけということになったのか。
「ローデン侯爵は再婚したそうです。あなたの妹さんということになるのでしょうか。ミシェル・リンドブルム公爵令嬢と再婚したらしい」
「ウィリアム様とミシェルが?」
流石にそのことには驚く。
私がウィリアム様と離縁してから、まだ一年も経っていない。
それなのに婚約でもなく、もう『再婚』なのか。
これはやはり、元々何かリンドブルム家とローデン家でつながらないといけない理由があったのかもしれない。
「ローデン公爵が公女と再婚されたのは、つい最近だそうです」
じゃあ、およそ半年ぐらいで再婚を決めて、実際に縁を結んだのね。
「そこでどういう話し合いが行われたのかまでは存じ上げません。しかし」
「は、はい」
「ローデン侯爵家がアーシェラさんを捜しているそうです」
「え?」
思っていたのとは違う方向のことを告げられる。
ローデン家が? なぜ。それもミシェルと再婚したあとなのに?
離縁してからの私は、村でのみ【植物魔法】を使っていた。
つまり前世の知識があったとしても、それを用いて大規模なことはしでかしていない。
私を『使えない』と判断していたウィリアム様が、わざわざ私を捜す価値はないままだ。
だというのにわざわざ私を捜索するということは。
「……ミシェル」
思い浮かぶのは義妹の姿。
リンドブルム公爵家の中で唯一、私に嫌がらせをし続けていた人物。
他の家族はせいぜいが冷たく、無視をし、或いは政略の道具と扱うだけだった。
でも、ミシェルだけは私を虐げる意思を持っていたのだ。
もし、彼女の精神性がそのままであり、ローデン家に嫁いだというのなら。
私を捜しているのは、ミシェルの嫌がらせが理由じゃないだろうか。
「……アーシェラさん」
神父様ではない、村人の声に私は視線を向けた。
「そりゃあ、あんたにだって事情はあるんだろうさ。でもな。お貴族様が絡むいざこざに俺らの村が巻き込まれるのは正直、困るってゆうかな……」
私は再度、この場にいる数人の村人の表情を見た。
そこにあるのは怒りではなく、困惑。哀れみ。
でも、それ以上に触れたくない、と。
関わりたくない。そう思われていることが嫌でも伝わってきた。
「それ、は……」
「今すぐに出ていけなんて言わねぇよ。流石に今、村から出ていったら死んじまう」
「…………」
「でも、冬が終わったら……。その頃にはきっとあんたの捜索だって本格的に動き始めるんだろ? そうなった時、この村であんたが見つかったら。いなくなった領主の娘を匿っていたなんて知られたら村ごと危ないんだって。すまないが、わかってくれるよな、アーシェラさん」
「……はい」
彼らの懸念はもっともな話だ。
私も本来はもっと遠くに行って身を隠すべきだった。
でも、この村にはリーフェルトくんがいた。
私が守らないとって思って。
叔母さんが帰ってくるまで。生活する家があれば。
そんなふうに思うことがあって、そのままこの村に居着いてしまったのだ。
なんとつたないことか。
徹底的にやるのなら偽名を使い、【植物魔法】を隠して過ごすべきだった。
それもリンドブルム領の中になんていず、遠くの領地に行くべきだった。
「……申し訳ありません。村の人に迷惑がかかるのは……私も不本意です」
「……ああ」
「ただ……」
村から出ていかなければならない。
無理やりに居座ったとしても、貴族が、侯爵家が捜しているとわかっているのなら、いずれ誰かに通報されるに決まっている。
もう潮時というやつだった。
私はこの村にはいられない。だけど。
「リーフェルトくんは……」
彼と出会ってからもう半年以上。
家族のような絆が、つながりができたと思っている。
それにリーフェルトくんは、実の母である叔母さんがいなくなった精神的な痛みがある。
この状況で私がいなくなるということは、彼の心にどんなものを残すのだろう。
「教会で預かります。もとよりそのつもりでした。あの時は……危なかったですが」
「……そう、ですよね」
本当は、ヘレーネ叔母さんがあの家からいなくなった時点でそうするべきだったのだ。
あの時は手遅れになりかけていた。
それでも、私が来なかったとしても村の誰かがリーフェルトくんを救ったかもしれない。
教会に預けられて、私と家族のような関係を築かず、余計な傷にならなかったかもしれない。
「……春になったら。冬が終わるまでは。この村にいさせてください」
「……はい。捜索はそこまで苛烈に行われてはいないようです。貴族といえども冬は動きにくいのでしょう。或いは、急ぎのことではないのかもしれません。アーシェラさんを捜す理由まではあきらかになっていませんので。ただ、あなたの顔色をうかがう限り、よくない理由なのだとはわかっているみたいですね」
「そう……でしょうね。今さら、私を捜す理由なんて……。それもリンドブルム家ではなくローデン家が、というなら……よい理由ではないでしょう」
「あんたの元旦那じゃねぇのか? よりを戻すために捜しているって線は?」
「ローデン侯爵とは夫婦になっても交流がほとんどありませんでした。せいぜい、親が彼の契約相手だったというだけ。形だけの夫婦です。離縁の理由は、私の【植物魔法】が使えないこと。契約相手が仕事をしなかった、に等しい。この半年でどんなに事情が変わったとしても、彼が好意的な理由で私を捜すことはないと思います」
「……そうか」
それ以上の理由は聞きたくなかったのだろう。村人は私から視線をそらした。
おそらく、侯爵家の捜索隊に捕まれば私は不幸になる。
そのことを彼らも察したに違いない。
だが、だからといってかばうことはできない。
彼らができることは、せいぜい冬に村から追い出さないことだけだ。
「……感謝します。冬に追い出さずにいてくれて。その恩には報いたいと思います」
もし、今すぐに村を追い出されたら、私は死んでしまうに違いないから。
皆が目線をそらしながら無言でうなずく。
私はそれ以上の言葉を交わすことができず……。
頭をただ下げて、無言で教会から立ち去る。
空は曇っていた。余計に寒さを強調するように。
「……これから、どうしようかな」
リーフェルトくんが大人になるまで村でがんばる。
そんなふうに将来を思い描いていた。
だけど、それが叶うことはもうない。
私はリーフェルトくんにお別れを告げなければならない。
「……寒い」
ただ、この寒さが、いつもより身にしみた。
「え? 村を……出ていって……ほしい?」
冬のある日、教会に私一人だけが呼び出された。
リーフェルトくんは連れてこないようにと言われていた。
神父様と村の大人の数人が教会にいて、迎えられて。
そこで告げられたことが『村を出ていってほしい』だったのだ。
「な……ど、どういうことでしょうか……? なぜ、急にそんな」
何か問題を起こしてしまっただろうか。
うまくやっていると思ったのに。
冷や汗が背中を伝う。
私に宣告した村人たちは顔を見合わせ、困ったようにする。
その表情からは〝哀れみ〟がうかがえ、〝怒り〟が理由ではないと察した。
「初めにお聞きしたいのですが、アーシェラさん」
「は、はい。神父様」
「あなたは、アーシェラ・リンドブルム公爵令嬢ですか?」
「──!」
私は息をのむ。
……バレた。とうとうバレてしまったのだ。
もちろん、私だって隠すことは考えた。
けれど【植物魔法】を使わずに村で生きていくのはきっと無理だっただろう。
だからギフトのことは正直に打ち明けるしかなかった。
でも【植物魔法】が使える時点で、知っている人には丸わかりなのだ、私の正体は。
「私たちも、そこまで愚鈍ではありません。アーシェラさんが貴族の出だろうとは最初からわかっていました」
「そう……なのですか?」
「はい。服装を市井のものに変えようとも、あなたの振る舞いからは貴族らしいそれが見えました」
そうか。でもそれは貴族の振る舞いなのか。
前世の──いや、どちらでも同じか。
「離縁されたというお話を聞いた時、貴族との縁だろうなと思っていました」
「そもそもヘレーネの姉が、どこかの貴族の子を生んだっていう話は、昔に聞いたんだよ」
「……そう、ですか」
母の話だ。噂に過ぎないようだが、相手が相手だけに広めないような動きが過去にあったのかもしれない。それでも人の口に戸は立てられない。
「私たちも確証がありませんでしたし、詮索するのもあえて避けていました。余計なことを知りたくなかった、が理由です」
「……はい」
そういう理由もあったのだ。
私だって余計な詮索をし、藪をつついて蛇を出したくない気持ちはわかる。
だから今まで私は見逃されていた。
「それで。認めてくれますか、アーシェラさん」
「……はい。私は、アーシェラ・リンドブルムです。今はもう、公爵家に籍は残っていないと思いますが……」
言い逃れなどできないと私は告白するしかなかった。
そもそも本当に隠れたいのなら、もっと徹底すべきだったのだ。
それに正体がバレたからと、村を出ていけと言われるとは……思っていなかったみたい。
我ながらなんて甘い見通し。どこかで楽観的だった。
「私が教会の関係者に。そして他の者は市場で偶然。あなたに関わる話を聞いたのです」
「私に関わる話ですか」
「アーシェラ・リンドブルム公爵令嬢は、かつてローデン侯爵に嫁いでいたそうですね」
「……はい」
「ローデン侯爵に離縁を言い渡されて、そのままリンドブルム公爵家に戻らず、この村に逃げてこられた?」
「……その通りです。ヘレーネ叔母さんを頼ってきました」
「そうでしたか」
他に私について何を聞いたのだろう。
何を聞いて村を出ていけということになったのか。
「ローデン侯爵は再婚したそうです。あなたの妹さんということになるのでしょうか。ミシェル・リンドブルム公爵令嬢と再婚したらしい」
「ウィリアム様とミシェルが?」
流石にそのことには驚く。
私がウィリアム様と離縁してから、まだ一年も経っていない。
それなのに婚約でもなく、もう『再婚』なのか。
これはやはり、元々何かリンドブルム家とローデン家でつながらないといけない理由があったのかもしれない。
「ローデン公爵が公女と再婚されたのは、つい最近だそうです」
じゃあ、およそ半年ぐらいで再婚を決めて、実際に縁を結んだのね。
「そこでどういう話し合いが行われたのかまでは存じ上げません。しかし」
「は、はい」
「ローデン侯爵家がアーシェラさんを捜しているそうです」
「え?」
思っていたのとは違う方向のことを告げられる。
ローデン家が? なぜ。それもミシェルと再婚したあとなのに?
離縁してからの私は、村でのみ【植物魔法】を使っていた。
つまり前世の知識があったとしても、それを用いて大規模なことはしでかしていない。
私を『使えない』と判断していたウィリアム様が、わざわざ私を捜す価値はないままだ。
だというのにわざわざ私を捜索するということは。
「……ミシェル」
思い浮かぶのは義妹の姿。
リンドブルム公爵家の中で唯一、私に嫌がらせをし続けていた人物。
他の家族はせいぜいが冷たく、無視をし、或いは政略の道具と扱うだけだった。
でも、ミシェルだけは私を虐げる意思を持っていたのだ。
もし、彼女の精神性がそのままであり、ローデン家に嫁いだというのなら。
私を捜しているのは、ミシェルの嫌がらせが理由じゃないだろうか。
「……アーシェラさん」
神父様ではない、村人の声に私は視線を向けた。
「そりゃあ、あんたにだって事情はあるんだろうさ。でもな。お貴族様が絡むいざこざに俺らの村が巻き込まれるのは正直、困るってゆうかな……」
私は再度、この場にいる数人の村人の表情を見た。
そこにあるのは怒りではなく、困惑。哀れみ。
でも、それ以上に触れたくない、と。
関わりたくない。そう思われていることが嫌でも伝わってきた。
「それ、は……」
「今すぐに出ていけなんて言わねぇよ。流石に今、村から出ていったら死んじまう」
「…………」
「でも、冬が終わったら……。その頃にはきっとあんたの捜索だって本格的に動き始めるんだろ? そうなった時、この村であんたが見つかったら。いなくなった領主の娘を匿っていたなんて知られたら村ごと危ないんだって。すまないが、わかってくれるよな、アーシェラさん」
「……はい」
彼らの懸念はもっともな話だ。
私も本来はもっと遠くに行って身を隠すべきだった。
でも、この村にはリーフェルトくんがいた。
私が守らないとって思って。
叔母さんが帰ってくるまで。生活する家があれば。
そんなふうに思うことがあって、そのままこの村に居着いてしまったのだ。
なんとつたないことか。
徹底的にやるのなら偽名を使い、【植物魔法】を隠して過ごすべきだった。
それもリンドブルム領の中になんていず、遠くの領地に行くべきだった。
「……申し訳ありません。村の人に迷惑がかかるのは……私も不本意です」
「……ああ」
「ただ……」
村から出ていかなければならない。
無理やりに居座ったとしても、貴族が、侯爵家が捜しているとわかっているのなら、いずれ誰かに通報されるに決まっている。
もう潮時というやつだった。
私はこの村にはいられない。だけど。
「リーフェルトくんは……」
彼と出会ってからもう半年以上。
家族のような絆が、つながりができたと思っている。
それにリーフェルトくんは、実の母である叔母さんがいなくなった精神的な痛みがある。
この状況で私がいなくなるということは、彼の心にどんなものを残すのだろう。
「教会で預かります。もとよりそのつもりでした。あの時は……危なかったですが」
「……そう、ですよね」
本当は、ヘレーネ叔母さんがあの家からいなくなった時点でそうするべきだったのだ。
あの時は手遅れになりかけていた。
それでも、私が来なかったとしても村の誰かがリーフェルトくんを救ったかもしれない。
教会に預けられて、私と家族のような関係を築かず、余計な傷にならなかったかもしれない。
「……春になったら。冬が終わるまでは。この村にいさせてください」
「……はい。捜索はそこまで苛烈に行われてはいないようです。貴族といえども冬は動きにくいのでしょう。或いは、急ぎのことではないのかもしれません。アーシェラさんを捜す理由まではあきらかになっていませんので。ただ、あなたの顔色をうかがう限り、よくない理由なのだとはわかっているみたいですね」
「そう……でしょうね。今さら、私を捜す理由なんて……。それもリンドブルム家ではなくローデン家が、というなら……よい理由ではないでしょう」
「あんたの元旦那じゃねぇのか? よりを戻すために捜しているって線は?」
「ローデン侯爵とは夫婦になっても交流がほとんどありませんでした。せいぜい、親が彼の契約相手だったというだけ。形だけの夫婦です。離縁の理由は、私の【植物魔法】が使えないこと。契約相手が仕事をしなかった、に等しい。この半年でどんなに事情が変わったとしても、彼が好意的な理由で私を捜すことはないと思います」
「……そうか」
それ以上の理由は聞きたくなかったのだろう。村人は私から視線をそらした。
おそらく、侯爵家の捜索隊に捕まれば私は不幸になる。
そのことを彼らも察したに違いない。
だが、だからといってかばうことはできない。
彼らができることは、せいぜい冬に村から追い出さないことだけだ。
「……感謝します。冬に追い出さずにいてくれて。その恩には報いたいと思います」
もし、今すぐに村を追い出されたら、私は死んでしまうに違いないから。
皆が目線をそらしながら無言でうなずく。
私はそれ以上の言葉を交わすことができず……。
頭をただ下げて、無言で教会から立ち去る。
空は曇っていた。余計に寒さを強調するように。
「……これから、どうしようかな」
リーフェルトくんが大人になるまで村でがんばる。
そんなふうに将来を思い描いていた。
だけど、それが叶うことはもうない。
私はリーフェルトくんにお別れを告げなければならない。
「……寒い」
ただ、この寒さが、いつもより身にしみた。