【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
穏やかな関係
午後のオフィス。
外は陽射しが眩しいのに、心の中には晴れ間がなかった。
(なんか、疲れた……)
会議が終わってからずっと、集中できないままキーボードを打ち続けている。
ふと、画面が霞んで見えた。
──川上さんの明るい声。
──黒瀬くんの低く笑う声。
(……もう…ちゃんと、仕事しなきゃ)
そう思うのに、心がついてこない。
「佐伯」
ふいに名前を呼ばれて、はっと顔を上げる。
高峰が、デスクの横に立っていた。
「え、あ、高峰くん……」
「大丈夫?なんか、疲れてるように見えるけど」
そう言って、手に持っていた紙カップを差し出してくる。
「……あ、それ…」
「コーヒー。コンビニのだけど、ミルク砂糖多めのやつ。たしかブラック苦手だったよね」
「……覚えてたの?」
「そりゃ、覚えてるよ」
そう言って、ふっと笑う。
その優しい笑みを見ていたら、胸の中にあった重いものが少しだけ、ほどけていく気がした。