【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜


「なあ、有紀」


「ん?」


「お前が俺の彼女なの、ほんと不思議」


「え……今さら?」


「うん。……ずっと、願ってただけだったから」



片想いしてた頃の気持ちは、今でもちゃんと覚えてる。

高峰と笑い合ってる姿を見ては、胸がざわついて。

奪われるんじゃないかって、不安でどうしようもなかった。

 

それでも、嫉妬なんか見せたくなくて。

平気なふりして、感情を隠して、過ごしてた。

 

怖かったんだ。
想いを伝えて、もし振り向いてもらえなかったらって思うと。

 

──ほんとは、あのとき高峰とのデートなんて、行ってほしくなかった。

けど、「行けば?」なんて言ってしまった。

強がって、カッコつけて、有紀の気持ちを優先したフリして。

 

もしあのまま、高峰とうまくいってたら──

きっと俺は、ずっと有紀を想ったまま、苦しんでたと思う。



そんな“もしも”の未来も確かにあったはずだ。



けれど、
そのどれでもなく、今こうして──
有紀が、この腕の中にいる。

 


「俺さ、今、めちゃくちゃ幸せ」


「……うん、私も」


目を細めて柔らかく微笑むその表情に、また心臓がドクンと鳴る。


飽きることなんてない。


触れるたび、声を聞くたび、
有紀が好きだって思いは、どんどん更新されていく。


きっとこの先、
喧嘩したり、すれ違ったりする日もあるんだろう。


でも、それでもいい。


この人となら、全部含めて過ごしていきたいと思える。


「ねえ、有紀」


「なに?」


「好き」


「……知ってる」



そう言いながらも、照れて赤くなる彼女が、たまらなく愛おしい。


たわいないやりとりなのに、胸の奥が温かく満たされていく。


こうして触れ合うたび、思う。



どれだけ時間が流れても、
きっと俺はこの幸せを噛み締め続けるんだろう。



誰でもいいわけじゃない。


有紀じゃなきゃ、意味がない。



今、この腕の中で、それを何度も思い知らされてる。



ずっと隣にいてほしい。



そう、心から願いながら──







(fin)

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