恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
決まった出張とざわつく心
「……え、高峰さんと、私ですか?」
顔を上げた瞬間、思わず声のトーンが上がってしまった。
「うん。もともとは高峰くん一人の予定だったけど、佐伯さんも一緒に組ませてみることにした。今回が初めての出張だろ?高峰くんのサブとして、サポートに入ってもらうのが一番いいと思って」
課長の声は事務的で、淡々としていて。
それが逆に、気持ちを揺さぶった。
──そうだよね。仕事なんだから、当たり前。
ちゃんと、わかってるつもりだった。
「……わかりました」
そう返すので精いっぱいだった。
(……高峰くんと、二人で出張)
少し前の私なら、舞い上がるほど嬉しかったと思う。
ほんの数時間でも一緒にいられることが、特別に感じられた。
でも、今は──ただ、心がざわつく。
*
「佐伯」
帰り際、高峰くんが声をかけてきた。
「出張、初めてだよな?よろしく」
変わらない優しい口調。
だけど、昔みたいに素直には笑えなかった。
「……うん。よろしくね」
視線を合わせるのが、なんだか怖かった。
「佐伯ってさ──」
「え?」
不意に名前を呼ばれて、顔を上げる。
高峰くんの視線と重なった。
そこには、なにか言いかけたような、迷いのような色があったけれど──
「いや、なんでもない。出張のことでわかんないことあったら、聞いて」
「……うん、ありがとう」
結局、彼が何を言いたかったのかはわからなかったけど。
少しだけ、胸がざらついたまま残った。
(──私、今、どんな顔してたんだろ)
高峰くんの優しさは、きっと変わっていない。
だけど、その距離の中に、“特別”があるとは思えなかった。
顔を上げた瞬間、思わず声のトーンが上がってしまった。
「うん。もともとは高峰くん一人の予定だったけど、佐伯さんも一緒に組ませてみることにした。今回が初めての出張だろ?高峰くんのサブとして、サポートに入ってもらうのが一番いいと思って」
課長の声は事務的で、淡々としていて。
それが逆に、気持ちを揺さぶった。
──そうだよね。仕事なんだから、当たり前。
ちゃんと、わかってるつもりだった。
「……わかりました」
そう返すので精いっぱいだった。
(……高峰くんと、二人で出張)
少し前の私なら、舞い上がるほど嬉しかったと思う。
ほんの数時間でも一緒にいられることが、特別に感じられた。
でも、今は──ただ、心がざわつく。
*
「佐伯」
帰り際、高峰くんが声をかけてきた。
「出張、初めてだよな?よろしく」
変わらない優しい口調。
だけど、昔みたいに素直には笑えなかった。
「……うん。よろしくね」
視線を合わせるのが、なんだか怖かった。
「佐伯ってさ──」
「え?」
不意に名前を呼ばれて、顔を上げる。
高峰くんの視線と重なった。
そこには、なにか言いかけたような、迷いのような色があったけれど──
「いや、なんでもない。出張のことでわかんないことあったら、聞いて」
「……うん、ありがとう」
結局、彼が何を言いたかったのかはわからなかったけど。
少しだけ、胸がざらついたまま残った。
(──私、今、どんな顔してたんだろ)
高峰くんの優しさは、きっと変わっていない。
だけど、その距離の中に、“特別”があるとは思えなかった。