恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜




定時を過ぎたころ。


パソコンを落とし、スマホでメールをチェックしていたとき。



ふいに通知が入った。



《出張前に、どっか飯でも行くか?》



黒瀬くんからだった。



(……なんで今)



一瞬、心臓が跳ねる。


思わず画面を見つめて固まってしまった。


すぐにもう一通。



《別に深い意味はないから安心しろ》



──ほんと、そういうところ。



ふっと力が抜けて、気づけば笑っていた。



(深い意味ないって言われる方が、気になるし)



どこか、タイミングがよすぎる気がして。


まるで、さっきのモヤモヤを見透かされたみたいで。


ちょっとだけ、ずるいなって思った。



……でも、嬉しかった。



言葉にするのは難しいけど、
高峰くんとの出張が決まったことに、こんなにも心が揺れている自分が情けなくて。


そんなときに届いたメッセージに、ほんの少しだけ、救われたのも確かだった。



《うん、行こ》



そう返してスマホを伏せる。



たいしたことじゃない。


ただ、誰かと他愛ない話をして、ごはんを食べて。


そんな時間が、今日はちょっとだけ欲しかった。



──それだけのこと。



……のはず、なんだけど。



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