恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
*
新幹線を降り、営業先へ向かうタクシーの中。
高峰はタブレットで資料を確認しながら、要点を復唱していた。
有紀もその横で、何度もノートを見返し、失礼のないようにと気を引き締める。
けれど──現地に着いた瞬間、その空気は一変した。
「……おそいですね。うちはそんなに暇じゃないんですよ」
クライアントの社長は、険しい顔のまま、ふたりを出迎えた。
「申し訳ありません。時間の伝達に不備があったようで……」
「そうですか。けどね──どうせ、うちみたいな小さな会社だからって、軽く見てるんでしょ?」
ぶつけられたのは、不満だけじゃない。
“諦め”に近い感情だった。
横で高峰が、真摯に頭を下げながらもなんとか状況を立て直そうとしていた。
だけど、相手はなかなか心を開かない。
有紀はそっと前に出て、一歩踏み出すように口を開いた。
新幹線を降り、営業先へ向かうタクシーの中。
高峰はタブレットで資料を確認しながら、要点を復唱していた。
有紀もその横で、何度もノートを見返し、失礼のないようにと気を引き締める。
けれど──現地に着いた瞬間、その空気は一変した。
「……おそいですね。うちはそんなに暇じゃないんですよ」
クライアントの社長は、険しい顔のまま、ふたりを出迎えた。
「申し訳ありません。時間の伝達に不備があったようで……」
「そうですか。けどね──どうせ、うちみたいな小さな会社だからって、軽く見てるんでしょ?」
ぶつけられたのは、不満だけじゃない。
“諦め”に近い感情だった。
横で高峰が、真摯に頭を下げながらもなんとか状況を立て直そうとしていた。
だけど、相手はなかなか心を開かない。
有紀はそっと前に出て、一歩踏み出すように口を開いた。