【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
受け止める覚悟
朝の社内は、まだ少し静かで、エレベーターのドアが開く音だけがやけに響く。
出勤して自席へ向かう途中、ふと黒瀬のデスクに目が留まった。
(今日は、外回り……か)
いつもなら何かしら視界に入るのに、今日は椅子がきちんと収まっていて、そこだけぽっかり空白になっているような気がした。
深呼吸して気持ちを整える。
デスクに向かうと、すでに高峰は席に着いて、書類に目を通していた。
いつものように。
でも──ほんの少しだけ、空気が違う気がした。
「……佐伯」
高峰は椅子に座ったまま、ちらと有紀の方を見て、いつもの穏やかな笑顔を浮かべた。
「高峰くん、おはよう。」
「おはよう……この前は、迷惑かけてごめん。」
「え……?」
「家まで送り届けてくれたこと。水も、スーツも。ぜんぶ、ありがとう。」
その言い方があまりにも自然で、でも心がこもっていて、有紀は一瞬、言葉を失った。
「あ、ううん……全然。すごく酔ってたし、心配だったから」
目を逸らすようにモニターを立ち上げながら、心臓の鼓動が少しだけ速くなるのを感じる。
(……やっぱり、ぜんぶ、覚えてくれてるんだ…)
そのことが、胸にずしりと響いた。
出勤して自席へ向かう途中、ふと黒瀬のデスクに目が留まった。
(今日は、外回り……か)
いつもなら何かしら視界に入るのに、今日は椅子がきちんと収まっていて、そこだけぽっかり空白になっているような気がした。
深呼吸して気持ちを整える。
デスクに向かうと、すでに高峰は席に着いて、書類に目を通していた。
いつものように。
でも──ほんの少しだけ、空気が違う気がした。
「……佐伯」
高峰は椅子に座ったまま、ちらと有紀の方を見て、いつもの穏やかな笑顔を浮かべた。
「高峰くん、おはよう。」
「おはよう……この前は、迷惑かけてごめん。」
「え……?」
「家まで送り届けてくれたこと。水も、スーツも。ぜんぶ、ありがとう。」
その言い方があまりにも自然で、でも心がこもっていて、有紀は一瞬、言葉を失った。
「あ、ううん……全然。すごく酔ってたし、心配だったから」
目を逸らすようにモニターを立ち上げながら、心臓の鼓動が少しだけ速くなるのを感じる。
(……やっぱり、ぜんぶ、覚えてくれてるんだ…)
そのことが、胸にずしりと響いた。