【完結】恋はあの人に、堕ちたのは君に。〜今日も意地悪な同期の腕の中で〜
タクシーから降りたあと、
エントランスを抜けて、エレベーターの中。
壁に映る黒瀬の姿が、やけに近く感じる。
「……ここまででいいよ。もう大丈夫…」
そう言いかけた有紀の言葉を、黒瀬の指が奪った。
指先が、そっと頬に触れる。
「……ほんとに?」
「っ」
その低い声に、有紀はゆっくりと視線を合わせた。
言葉では何も言えなかったけれど──
その潤んだ瞳が、全部を肯定していた。