エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「ただいまー」

 店長さんと一緒に子ども達が待つ自宅に戻ったが、帰宅を告げてもいつもは出迎えてくれるはずの双子がいつまで経っても姿を見せない。

「何かあったのかしら?」
「そうかもしれません……」

 玄関に見慣れない革靴がきちんと揃えて置かれていた。
 このことから察するに、大門寺さんはすでに来ているはずだ。
 私は嫌な予感でいっぱいになりながら室内に上がると、店長さんと一緒にリビングの扉を開けた。

「うわぁあん!」
「なんで、つかさが泣くの!?」
「まことくんと喧嘩する、ケーキのおじさんなんか、嫌い……!」
「大好きの、間違いでしょ!?」

 真っ先に聞こえてきたのは、司の大泣きしている声だ。
 その後、兄の説得に走る妹の叫びが続く。

 ――これは一体、どんな状況……?

 私達は助けを求めるように、息子を抱き上げてあやす誠くんを見つめた。

「純司兄ちゃんが先走って、子ども達と交流を深めようとしたんだよ。澄花さんの同意を得ずに、口を滑らすから……」
「ぼくは、まことくんじゃなきゃ、やだ……!」
「じゃあ、まことくんのおうちの子になれば!? りょうかは、ケーキのおじさんがいい!」

 涼花が大門寺さんの胸元に抱きつくことで、ようやく双子が喧嘩している理由を悟る。
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