エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 でも――。
 子どものためだけに嘘をつくのはよくないと考え直し、既のところで踏み留まる。

 大人だって、悲しむことはあるのだ。
 私達はもう2度と、仲違いなんてしたくない。
 そう思うならば、真っ先に行動を変化させるべきは自分だと気づかされた。
 だからこそ、私は自信を持って頷ける。

「うん」
「まことくんは、なんでずっと、一緒にいたの……?」
「いろんな事情があるんだよ」
「ぼくは、まことくんがパパだったらいいのにって、ずっと思ってた……」
「混乱させて、ごめんね」

 もっと早くに、何度も言い聞かせておけばよかったのだ。
 そうすれば、こんなふうに司を悲しませなくて済んだのだろう。
 これは明らかに、私のミスだ。

「これから、どうなっちゃうの……?」

 息子は、今にも泣き出しそうな声音で言葉を紡ぐ。
 そんな幼子をどうやって納得させるべきかと頭を悩ませながら、どうにか説得を試みる。

「まことくんは、親戚のお兄さんになるかな……。司が会いたいって思えば、年に何回かは……」
「やだ。ぼく、ずっと一緒がいい……」

 しかし、焼け石に水だった。
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