エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「おばちゃん! まことくん! 行ってきまーす!」
「気をつけてね」

 こうして私達は中野家の2人に見送られ、徒歩で保育園を目指す。

「ママが手、繋いでくれないのは……。ぼくが、悪い子だから……?」
「違うよ。4人で手を繋いだら、ほかの人に迷惑でしょう?」
「じゃあ、ぼくがママと手を繋ぐ……」

 司は涼花から手を離し、自分から積極的に私の指先に触れた。
 大門寺さんにも、こうして触れ合ってくれたら一番いいんだけど……。
 まだまだ、時間がかかりそうだった。

「司は、優しい子に育ったね」
「ぼくはぜんぜん、優しくない……。泣いてばかりで、りょうかみたいになれないんだ……」
「無理をしなくて、いいんだよ。司のペースで、ゆっくりと進んでいけば……」
「本当……? あの人のこと、パパだって認めなくても、怒らない……?」

 不安がる息子を勇気づけてやるには、優しい言葉を投げかけてやるのが一番だ。
 そう考えた私は、精いっぱい子どもの言葉に寄り添う姿勢を見せた。
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