エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 別々の職業体験を終えた双子は合流し、朝一で整理券を取得したケーキ屋さんへ向かった。
 コック帽と真っ白なエプロンを身に着けてホイップクリームを真剣な表情で絞り出す2人の様子を眺めつつ、待ち時間は純司さんとの世間話に夢中となる。

 デートすらもまともにした覚えがないほどに、交際期間が短かったせいか――。
 こうして彼と隣合って歩いているだけでも、幸せな気持ちでいっぱいに包まれる。

 私は終始、口元を綻ばせていた。

「パパ! お写真撮って!」
「ああ。もちろんだ」

 職業体験を終えた双子は、自らデコレーションしたケーキを手に飲食スペースへやってきた。
 涼花はカメラを手にした純司さんと写真を撮影しているが、隣に座る司の様子がどうにもおかしい。

「司? 具合、悪い?」
「うんん。疲れちゃった……」

 息子は休憩無しで、3つも体験している。
 体力のない司には、このハードスケジュールをこなすのは無理があったようだ。
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