エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 ――真面目そうな人……。

 茶髪や金髪は、いかにもチャラついた印象を与えるから苦手だ。
 それに……。
 あの変質者と、同じ髪色だから……。

「あ、あの……!」

 この人なら、大丈夫かもしれない。
 私はそんな確信めいた予感をいだき、思い切って声を張り上げた。

「ファンシーレインボーで働く、五月雨澄花と申します……! 店長さんの紹介で、参りました……!」
「君が……」

 男性は目を見張ったあと、納得した様子でこちらを誘う。

「叔母から聞いている。中へどうぞ」
「し、失礼いたします……!」

 私は緊張の面持ちで、彼の後ろについて回る。
 応接室に入るまで、彼は一切こちらを振り向かず無言を貫いていた。
 約束の時間を過ぎているのに受付を通らず、事務所の前でぼーっとしているのはやはりよくなかったのだろう。

 ――第一印象が最悪な状態で、私の主張にちゃんと耳を傾けてくれるのかな……?

 弁護士さんが椅子に座り、対面のソファーを指差す。
 私は不安でいっぱいのまま、小さく頭を下げてからそこに腰を下ろした。
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