エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「弁護士の大門寺だ」
「お、お名刺、頂戴いたします……!」

 彼は私が落ち着いた頃を見計らい、名刺を差し出してくる。
 ショルダーバッグを膝上に起き、それを震える両手で掴んで受け取った。

 小さな細長い紙切れには、大門寺純司と記載がなされている。
 どうやら、それが彼の名前らしい。

 ――確か初回の面談って、30分くらいしか時間がなかったよね……?

 1分1秒も、無駄になどできない。
 急がなきゃと焦りながら、私は必死に声を発した。

「あ、あの! 私、半年前から……!」
「変質者につけ回されているようだな」
「ど、どうして……?」
「祖母は君の口から説明させると、時間がいくらあっても足りないと判断した」
「な、なるほど……」

 どうやら予約を取る際、店長さんが気を利かせて弁護士さんと情報共有をしてくれていたらしい。
 私はもう一度まったく同じ説明をしなくて済んだことにほっとしながら、ガサゴソと鞄を漁る。
 彼女に伝えていないことは、自分の口から説明する必要があったからだ。
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