エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「私はみなさんに、迷惑をかけてばかりですね……」
「違う。悪いのは被害に遭っている君ではなく、君に危害のあとをつけてくる不審者だ」
「私がもっと快活で、お友達がたくさんいて、お金持ちなら……。こうやって、弁護士さんにも相談しなくて済みました……。け、警察だって……! ちゃんと、話を聞いてくれたかもしれません……!」
「自分を責めるな」

 弁護士さんだって、依頼人に泣かれるのは困るだろう。
 こうやって私がしょげている間にも、時間は刻一刻と過ぎていく。
 相談が長引けば、最終的に支払う金額も高くなる。
 自分で自分の首をしめるとわかっているのに、一度溢れ出した涙は簡単には止まってくれなかった。

「ごめんなさい……!」

 泣いちゃ駄目だとわかっているのに、どうしても瞳から大量に滴り落ちる雫を止められない。
 私は何度も謝罪をするのが精一杯だった。
 こんな状況じゃ、彼にも迷惑をかけるだけだ。

「私、帰ります……!」

 膝の上にちょこんと乗せていたハンドバッグを手に取り、ソファーから立ち上がる。
 このままここにいても、まともに会話ができる気がしなかったからだ。
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