エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「迷惑をかけて、すみませんでした……!」
「待ってくれ」

 ペコリと頭を下げてこの場から脱出しようと試みたが、その一瞬の隙をついた彼に手首を掴まれて静止される。
 不愉快そうに歪められた瞳が恐ろしくて、ビクリと身体が硬直した。

「ゃ……っ」

 ――早く出なきゃ。
 怖い。触らないで。
 そんな目で、私を見ないでほしい――。

 頭の中ではさまざまな思いが駆け巡り、叫び出したい気持ちでいっぱいになる。
 それを表に出さないように両目を瞑ってグッと耐えれば、弁護士さんの優しい声が聞こえてきた。

「落ち着け」

 彼の低い声が、心にじんわりと染み込んでいく。
 さっきまで、あんなにも恐ろしいと思っていたのに――。
 いつの間にか全身の震えが止まり、だんだんと落ち着きを取り戻していく。

「泣いている君を、このまま1人で帰すわけにはいかない」
「で、でも……っ」
「誰にも頼れず、お金を支払えない。そんな状況でも、助けてほしいと頼ってくれたんだ」
「わ、私……っ」
「僕が君の友人として、無償でボディーガード引き受けよう」

 弁護士さんの口から語られたまさかの提案を受けて、驚愕した。
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