エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 今日、初めて会ったばかりの人なのに。
 どうしてそんなに、優しくしてくれるの……?

「そんなの……! 了承できません……!」

 絶対何か、裏があるに違いない。
 彼の申し出を受け入れて不審者騒ぎが無事に解決したあと、法外な身辺警護代を請求されるに決まっている。
 私はぶんぶんと勢いよく左右に首を振り、拒否をした。

「加害者は、君を四六時中監視している可能性が高い。弁護士事務所に出入りしたと知られたら、迷惑行為がエスカレートする」
「これ以上、弁護士さんにご迷惑をおかけするわけには……!」
「君が無惨な姿で発見されるほうが、よほど迷惑だ」
「ひ……っ!」

 彼が物騒な発言をしたせいで、自分が不審者に襲われた際のことを想像して喉が引き攣った。

 ――死ぬなんて、絶対に嫌……っ!

 そう思う気持ちは、確かにある。
 しかし、彼に迷惑をかけてまで生き残りたいかと聞かれたら、それはまた別の問題だ。
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