エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「それじゃあ……。私は、これで……」

 繋いだ手を離したら、もう二度と彼に会うことはないだろう。

 ――さようなら、大門寺さん。
 私はあなたが、大好きでした。

 心の中で別れを告げ、身体を離そうと試みる。
 しかし彼は、なぜか背中に腕を回して抱き寄せた。

「明日からは、本当の彼女になってくれないか」

 大門寺さんがどうして、自分の都合がいい夢としか思えぬ提案をしてくるのか。
 さっぱり理解できない。

 それでも――。

 私は先程言われた言葉が真実かどうかを知りたくて、思わず真意を探るように彼の瞳を見上げてしまう。

「好きだ」

 その目は、愛の告白に嘘偽りがないことを証明するようにまっすぐこちらへ向けられていた。
 そんなふうに見つめられたら、断れるはずがない。
 私は空いている手を使って彼の背中に腕を回すと、その思いに応えるようにその身を寄せた。

「わかっていたんです……。好きになっては、いけないって。大門寺さんは、お仕事だから。私に優しくしてくれただけなのに……」
「違う。僕は君だから、時間外労働をしようと思った。好意を抱いている女性を自分の手で守りたいと考えるのは、当然だろう?」

 ――彼と同じ気持ちなんて、夢みたい。
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