エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 大好きで、大切で、助けを求める私の手を振り払うことなく受け入れてくれた人。
 この人になら――何もかもを、曝け出せる。

「抵抗しないと言うことは、自惚れても、いいか」

 私は小さく頷くと、彼と唇を触れ合わせた。
 初めての口づけは手を繋いだ時よりもふわふわと浮足立って、幸せな気持ちでいっぱいに包まれる。

 ――大門寺さんと出会えて、本当によかった。

 私は弁護士さんと巡り合って思いを通じ合わせられたことを心の奥底で神様に感謝をしながら、帰路につく。

「名残惜しいな」

 マンションの前までやってくると、大門寺さんは切なげに目を細めたあとに繋いでいた指先を離す。

 私も彼と、同じ気持ちだったから――。
 慌てて「いかないで」と主張する代わりに弁護士さんの手に触れ、顔を真っ赤にして声を張り上げる。

「相思相愛の彼氏彼女なら! お互いの自宅を行き来するのは、当然です……!」

 大門寺さんはこちらの主張を耳にして、しばらく固まっていた。

 ――はしたない女の子だって思われたら、どうしよう……!

「君を好きになったのは間違いだった」と言われるのを恐れ、ぎゅっと目を瞑る。
 しかし、想像通りの言葉が彼の口から聞こえてくることはなかった。
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