エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 大門寺さんと想いを通じ合わせてから、1か月が経過した。
 園山さんと示談を成立させたおかげだろうか。
 あの日から弟さんの姿が周囲をうろつくこともなくなり、私は毎日幸せな生活を送っている。

「純司に会ってから、澄花ちゃんは変わったわね」
「そうですか……?」
「ええ! とっても可愛くなったし、仕事でのミスも減ったでしょう? ハキハキお話ができるようになって……。日々の接客態度から、成長を感じるわ……!」

 店長さんはキラキラと瞳を輝かせて、私を褒めてくれた。
 彼女がいなければ、今もまだ変質者に追いかけられる恐怖を味わっていたかもしれない。

 ――これからもたくさん働いて、恩返しをしなくちゃ。

 そんな決意とともに、「これからもよろしくお願いします」頭を下げた時だった。

「う……っ!」

 身体の奥底から何かが迫り上がってくるような感覚を覚え、口元を抑える。

「澄花ちゃん? どうしたの……?」
「す、すみません……! 少し、気分が……っ」

 一言断ってから洗面所に向かい、気持ち悪さを吐き出す。
 蛇口を捻って流れ出す水音を聞いているうちに、だんだん気分が落ち着いてきた。
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