エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
「強引に迫って来られたところで、君が嫌いになるだけだ」
「なんだ~。つまんないの」

 葵はこれ以上言い寄っても無駄だと悟ったのか、口元をへの字に曲げる。
 しかし、それも一瞬だ。
 すぐに顔色を変化させた彼女は、不思議そうに小首を傾げて問いかけた。

「ねぇ。あたしの、どこが悪かった?」
「君を構成する全てが、僕の好みではない」
「酷いなぁ。もっと早くに言ってくれたらよかったのに。そうすれば、こんなにも純司を好きにならなかったんだけどなぁ……」

 元許嫁は未練がましくこちらをじっと見つめてくるが、どこまで本心なのかは定かではなかった。
 彼女は別に、僕が本気で好きなわけではない。
 親に逆らえないから、好意のある振りをしているだけだ。
 自分を好きで居続ければ、異性を好きにならなくて済むと思っているのだろう。
 だからこそ、こちらがつけ入る隙さえ与えなければさっさと手を引く。
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