エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 ――着信や受信を、拒否されているのか……?

 僕は彼女から拒絶される理由に一切心当たりがないまま、澄花と会う手段を絶たれてしまった。

 ――叔母さんなら、澄花の居場所を知っているかもしれない。

 このまま澄花との関係を終わらせたくない一心で、親族を頼る。
 しかし、店に押しかけたところで「知らない」の一点張り。

「うちも、困っているのよねぇ……。ある日突然、お店を辞めてしまったから……」

 叔母からその話を聞き、信じられない気持ちでいっぱいだった。
 彼女が理由を告げずに仕事を放り投げる人間だとは、到底思えなかったからだ。

「わかった……」

 どうして澄花が、僕の前から姿を消したのか――。
 思い当たる節は、1つしかない。
 叔母と別れた僕は、すぐにその場で元許嫁と連絡を取った。

『もしもーし?』
「君が僕の澄花に、身を引けと言ったのか!?」
『え? 住処って、何? どこの?』
「惚けるな!」

 電話越しに怒声を浴びせたあと、我に返る。
 彼女を追い込んだ犯人が葵ならば、怒鳴り声を上げた直後に逆ギレしてくるはずだと。
< 70 / 162 >

この作品をシェア

pagetop