エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 あれからさらに、2年の時が経つ。
 澄花は依然として、僕の前から姿を消したままだ。
 そろそろ記憶の中に彼女の姿を留めておくことすら、困難になりつつある。

『ねぇ。あれから6年も経つんだけど。脈ナシなら、あたしと結婚してよ!』

 葵からは1年に一度程度、よりを戻したいとメッセージが送られてきた。

『僕が彼女を愛し続けている限り、君と番うことはない。諦めてくれ』
『ケチ!』

 この会話を繰り返して、随分と長い時間が経過してしまった。

 ――そろそろ本腰を入れて澄花を捜索しないと、元許嫁と結婚させられてしまうかもしれん……。

 そんな危機感に震えていた時、奇跡が起きた。

 澄花の名前で、うちの弁護士事務所に予約が入ったのだ。

 この6年の間、お世話になっていた弁護士事務所から独立したのが功を成した形となる。

 ――連絡先は変わっていなかったが、こちらの番号は着信拒否されている。
 僕は「くれぐれも彼女に僕が在籍していることをバラさないように」とほかのスタッフに厳命すると、想い人がやってくるのを静かに待ち続けた。
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