エリート弁護士は秘密の双子ごと、妻を寵愛する
 澄花の話を聞く限りでは、生活に困窮しているらしい。
 僕との復縁を了承すれば、金銭的な負担に悩む必要はなくなる。
 そう持ちかけるタイミングを見計らっていると、どこかで聞き覚えのある舌っ足らずで甲高い声が、従兄弟の名前を呼んでいると気づく。

「まことくん! こっちだよ!」

 “誠”なんて名前は、ありふれたものだ。
 それが僕の想像した彼かどうかは、その発言を聞いただけではわからない。
 しかし――。

「駄目だよ。りょうか……! ママは、もう会わないって言ったのに……!」
「もう! つかさ! 邪魔しないで!」
「こら。喧嘩すんなって。危ねぇだろ? 誠兄ちゃんと、片方ずつ手を繋ごうなー」

 澄花の子ども達がこちらに向かって歩いてくる姿を目にしたら、同名の別人などと結論づけることなどできそうにはなかった。

「君達は……」
「あ! おいしいケーキのおじさん!」

 僕が彼らの存在に気づいて足を止めると、満面の笑みを浮かべた幼子が誠から手を離す。
 その後、2つに結わえた髪を振り乱して駆けてくる。

「あのね! りょうか、おじさんに会いたかったの!」

 こうして少女は、自分に会えたのが嬉しくて仕方がないと言わんばかりに足元へ纏わりついた。
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